やばやばホテル日記

気ままなホテル宿泊記

【宿泊記】アマン京都

 

こんにちは、たにやばです。

 

この度一人でアマン京都に宿泊してきました。

記憶の冷めないうちに滞在記として記しておきます。

 

今回の一人旅、パークハイアット京都とリッツカールトン京都での素敵な滞在を消化しようとし、しかしイマイチ満足しきれていない自分がいました。

それはホテルに対する不満ではなく最近の自分の行動に対する自戒の念を消化できずにいたことに起因するのですが、とにかくそんな現実や自責の念から逃れるように、極上のリゾートを展開するアマンならばと当日に予約を入れました。

 

鴨川沿いのホテルからタクシーを飛ばして15分程でしょうか、

14時を少し回るころにアマン京都に到着しました。

アライバル・パヴィリオンで僕を出迎えてくれたのは数人のスタッフ達。

決して仰々しくはなく、しかし丁寧な歓迎を受けました。

 

アライバル・パヴィリオンは小さな建物で、ここで一組だけ(僕はシングルでしたが)の丁寧なCIを行います。

 

もらった名刺を後から確認したところ、副総支配人の方が自らホテルの成り立ち、鷹ヶ峯の地の歴史、昨今の情勢、このホテルの色々な楽しみ方などを懇切丁寧に説明したくださったみたいです。

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必要な情報の登録が済むと、その副総支配人含む数人のスタッフにエスコートされながら、

アマン京都のメインストリートを歩きます。

 

街中の舗装された道とは勝手が異なる石畳の道。

それすらも楽しみに変えてしまう逸話の数々に足取りは軽く。

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これは、本来この地に開かれるはずだった西陣織の美術館の正門予定地。

道半ばで実現がかなわなかったその意思をしめ縄でリスペクトしているそう。

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宿泊棟は日本のアマンらしいシックなつくり。

森の中の庭園に溶け込むような地味さが良いです。

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入り口はメインストリートの裏側に。

あくまで宿泊棟はこのホテルの”メイン”ではないんだなと感じました。

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この棟は各入り口から1階と2階のそれぞれ一部屋づつ。

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階段を上って「楓」のお部屋に案内していただきました。f:id:fpooh:20210119223848j:image

部屋の広さはスイートを除きすべてのカテゴリーで同じ広さ。

モダンな和を意識した、採光量が程よいお部屋でした。

 

靴を脱いで畳敷きのお部屋に上がり、スタッフさんに細部まで十分すぎるほど、丁寧な説明をしていただきました。

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部屋のデザイン、アメニティなどを見るとアマン東京とは共通のものもあれば異なるモノも。

確かに言えることは、やはり不足ない滞在を過ごすための設備は充実しています。

 

眺望に関しては、正直なところ圧巻の絶景は見当たりませんでした。

メインストリートと、その奥のスパ棟が見えます。(木と石と黒いプレハブ)

ですので、開放的な情景を楽しむことは残念ながら叶わないでしょう。

それなのになぜか近い距離にある白、黒、緑の”小さな”景観は非日常を感じさせてくれます。

 

快適なベッドや座布団からぼんやりと人気のない、静かな森を眺める。

何でもないようで、現代人が忘れしまいがちな時間です。

それも世界的なホテル、アーキテクトがしつらえた2万坪を超える空間を、

この日は数組のゲストで独占してしまうというのですから贅沢なものです。

 

 

部屋を一通り堪能した後、温泉の為にスパ棟へ向かいました。

ここでも貸切となったのはホテルの事を考えると喜ばしくはないのですが、

人目を気にせずくつろぐにはこれ以上ない環境だったと言えます。

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温泉男女それぞれに内風呂と露天風呂があり、ロッカーや洗い場も不便なく利用できるよな作りでした。

何より露天風呂はとっても広く...時間を忘れてゆっくりと湯治を楽しみました。

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冬の京都でも苦に感じないほどに温まった身体で、天ヶ峰へと歩きます。

天ヶ峰も以前の所有者がしつらえた場所をそのまま残してあり、

以前は鉱山としての用途もあったとか。

 

石段の階段は想像以上にハードでしたが、誰もいない頂上で小鳥のさえずりを聞きながら涼むひと時は夕食前の良い運動になりました。

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部屋に戻り、少しだけ身支度を整えてから、夕食へ。

 

すっかり太陽は沈み、メインストリートも庭園も昼とは異なる表情を見せます。

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THE LIVING PAVILION by AMANは静かな明かりをたたえていました。

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建物の外でスタッフさんが迎えてくれたこのパヴィリオンには他にゲストはおらず。

この贅沢な空間を一人のゲストで占有する貴重な経験でした。

 

初めは恐縮して落ち着きませんでしたが、心地よい距離間のスタッフと話している内に

すっかり居心地の良い知人の家に招かれたような居心地の良さに包まれていました。

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当然その過程には、目にも舌にも嬉しい極上の料理の数々がありましたが。

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カモミールティーと茶菓子をいただき、極上の孤独のグルメを締めくくりました。

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その後、テラスのソファーへ座り電気毛布を掛けてもらいました。

 

夜風に焚かれながら、生きているような炎がぱちぱちと音を立てるのを静かに聴いていました。

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宿泊棟へ程よい良いと共に歩くと、誰もいない静寂な森の中で感じるのは不思議と恐怖や孤独、不安といった感情でなく、遠くから静かに見守るような優しい感覚。

 

一人で勝手に安心するような気持ちを覚え、ベッドに沈むのでした。

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翌朝

 

予約した朝食の時間に間に合うようにかけたアラームに起こされ、身支度をします。

こういうところで時間に捉われるのはこの滞在中唯一の時間だったように思います。

 

粉雪や舞い落ちる中、ダウンを着て昨晩と同じパヴィリオンへ。

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アマン京都の和朝食は八朔ジュースと地産地消の野菜サラダに始まります。

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京都らしく湯葉と湯豆腐。目の前で仕上げてくださいます。

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重箱のお料理とご飯、味噌汁。お米は京都のコシヒカリを使っています。

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デザートで口直しをした後、テラスへ。

 

眼前に広がるケリー・ヒルガーデンをゆっくりと観察し、うっすら寒い森の空気を堪能します。f:id:fpooh:20210120000256j:image

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その後、滞在中二度目の温泉に。

 

このタイミングで雪が強まり、粉雪が舞い込む賑やかな露天風呂に。

やはり貸し切りでしたが、昨日より気分は晴れやかでした。

 

 

その後出発しなければならない時間ギリギリまで部屋のベッドから外の景色を眺めていました。

満腹感と温泉による温かさも手伝って、程よい眠気に誘われました。

”大きすぎない”この不思議と落ち着く景色を眺めてあっという間に2時間ほど。

この瞬間、頭をよぎったのは日常に戻らなけらばいけない悲しみではなく、

軽く、すっきりとした静的な充足感でした。

 

最後まで懇切丁寧なスタッフさん達に見送られタクシーでホテルを後にしました。

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名アーキテクト、ケリー・ヒルの最晩年の作品の一つであるアマン京都。

スタッフさんがいうにこのホテルは敷地こそアマネムと同等ですが、

あまり開放感を感じられず、その事で合わないなと感じたゲストもいたそうです。

ケリー・ヒルが実現しようとしたホテルの形が現在のアマン京都なのかは分かりません。

 

しかしながら、他のどのロケーションでも味わえない極上のリラクゼーション。

ひっそりと京都の山奥に開業したアマン京都はサンクチュアリといえる空間だったと感じます。

 

今はまだ鮮明に思い返すことができる数々の場面も、

この先当たり前のように訪れる日々の忙しさに忘れてしまうこともあるでしょう。

しかしながら、きっとまた他では味わえないであろう「癒し」を求めて、

このホテルを訪れる予感がしました。一人でも、誰かと一緒でも。

 

勿論、その時は多くのゲストでもっと賑やかな様相を取り戻していることでしょう。

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